つむぎ流映画のすすめ:行定勲監督作品「真夜中の五分前」

最終更新日時 : 2016/05/08
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「真夜中の五分前」

 

こんにちは!つむぎです。
今年は「つむぎブログ」にご訪問いただき、ほんとうにありがとうございました。
来年がみなさまにとって、笑顔が咲くステキな1年でありますように。
来年も少しずつですが、お役に立つチップスや、本や映画などの感想など紡いでいきたいと想います。
ということで、12月最終のブログ更新となります。
今回は、つむぎが今年見た映画の中でイチオシの、オススメ映画のご紹介をしたいと思います。

わたしは読書ほどではありませんが、時間をできるだけ作って映画を鑑賞しています。
特に大好きなのが、日本の監督作品!
今回ご紹介する作品は、12/27公開初日と12/29に鑑賞した行定勲監督作品「真夜中の五分前」(主演:三浦春馬くん)
春馬くんファンだったことから、わたしはこの映画の存在を知り、そして何より行定勲監督作品ということで、と~っても公開を楽しみにしていました。

 

・ストーリーは・・・

上海を舞台に、失った恋人が大切にしていた5分前の時間を生きる時計修理士の日本の青年:良(三浦春馬くん)と、美しい双子の中国人女性(リウ・シーシーさん二役)のラブストーリーが軸に。
仕事の後にプールで泳ぐことを楽しみにしている良は、ある日、魚のように美しい泳ぎをするひとりの女性に出会い、彼女に惹かれていく。
実は、彼女は一卵性の双子の姉で、自由奔放でうりふたつの妹に複雑な想いを抱いていた。
互いの心のおもりを語ることで、互いを理解し、少しずつ互いの距離を近づけるふたり。
彼女の妹に対する複雑な想いが、あるミステリアスな展開を生み出していく。。。

 

「真夜中の五分前」

 

・全体を通しての感想は・・・

前半は、ゆったりした時間軸の中で、主人公たちの心の動きがていねいに紡がれます。
そして後半、物語はラブストーリーからミステリアスな展開に、一気に引き継がれていきます。
真実がどこにあるのかを、登場人物の1つ1つの表情や光の陰影で探していくような空気感へ。
双子にしかわからないと想われる、彼女たちの精神世界の融合と離脱。
美しい彼女が抱くパラドックスな心象世界が、物語を神秘性のあるものへと高めています。

そしてなによりこの物語を引き立てているのが、全体を通して流れるノスタルジックな上海の空気感。
やわらかな光の陰影で物語を語るような、まるで銀塩フィルムのような空間。
そこで奏でられる、ひたすら時を刻む時計の振り子や秒針の音。
絶妙な光と音の演出のはざまに、そっと差し込まれる優しい音楽たち。
静謐で叙情的な、日本の侘び寂びの空気感も添えられて。
そこには大陸のもつゆったりとした温度感と、日本が持つ繊細な感性が融合した、独特な詩的な世界が生まれています。

全体を通して、セリフは少なめ。
三浦春馬くんの中国語でのセリフ回し、瞳の動きや表情やしぐさで語る心の動き、体全体で表現する怒りや不安感が素晴らしい。
主人公ふたりの繊細で抑えた演技が、詩的な世界の情緒をより深いものにしていて秀逸。

 

「真夜中の五分前」

 

・2回観て、新たに感じたことなど・・・

2回鑑賞して2回目に深く印象に残ったのが、ストーリー内でのプール(水)の存在。
冒頭、なぜかほほえみを浮かべながら、ゆったりとプールに浮かぶシーシーさんの映像が鮮烈で、この場面とラストシーンは時間軸がつながっているのでは?と感じた。
水=羊水、時計の音=心音、母の胎内で新しく生まれ変わる第3の彼女のいのち。。。
そんな感覚をふっと感じたのは、わたしだけ?
いずれにしても、ストーリーはこの作品をみる人の心にゆだねられている作品。

「全編を通して流れる空気感」がとてもゆったりしているので、好き嫌いが分かれる作品ではあると想うけど、この世界観、わたしは大好き!
心地いい余韻が残り、わたし的には今年一番、そしてこれからも忘れられない、もう一度みたい大切な一本に。
最後、わたしの中では、「遅れていた五分前のふたりの時間」が重なって、今の時間を刻みだし、恋人たちの物語がそこから紡がれていくような気がした。

 

それぞれの国のクリエイターたちが、その想いをひとつにして紡ぎあげた「真夜中の五分前」。
ひとりひとりの人たちの間では、「様々な問題も乗り越え、1つの素晴らしい形を創りあげることができる」という「希望」も提示した本作品。

それぞれの心で感じてほしい、日本人にこそ観てほしい、想像力をかきたてられる秀作♪
あなたの心で、その世界観を感じてみてはいかがですか?

 

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